2006年6月3日エレベーター戸開走行死亡事故から9年3カ月 2015年9月29日、東京地方裁判所の判決が下されました。
  検察側は、
 2004年11月以前にブレーキライニングの異常摩耗は発生し、シンドラー社の保守課長だった原田隆一被告らが、ブレーキを調整したのにもかかわらず、原因究明や再発防止処置をとらず、戸開走行事故防止に必要な情報を提供もしなかったと主張しましたが、
 判決は、2004年11月以前に異常摩耗が始まっていたことを認めるに足りる客観的な根拠がないとし、保守課長の原田被告を無罪としました。
 判決は、独立保守業者であるSEC社保守社員が事故直前に点検した時までには異常摩耗が発生していたとし、SEC社被告らには、事故機の特殊な構造を踏まえ、五感の作用による保守点検だけでなく保守マニュアル等の調査や、エレベーターの構造等について十分な調査を行わせ、その調査結果に基づいて保守点検項目を策定させるとともに、担当保守点検員に、その保守点検方法等に関する、必要な情報を与え、それらを十分に理解させた上、保守点検を実施させる体制を採り、事故の発生を未然に防止すべき、業務上の注意義務があるとし、「適切な保守管理体制を構築する義務を怠った過失がある」として、SEC社会長 鈴木孝夫被告を禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑禁固1年6月)、社長の西村裕志被告を禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑禁固1年4月)、元メンテナンス部長の根本邦男被告を禁錮1年2月 執行猶予3年(求刑禁固1年2月)の有罪としました。
 判決はブレーキの調整が行われたと認定しましたが、いつ誰が調整したかは、不明のままです。
 原田被告らが調整した後に、調整した者がいなければ、原田被告らが行った調整の時には、異常摩耗が発生していたことになり、原田被告も有罪となることになります。

なぜこのように時間がかかっているのか

 異常摩耗の客観的な証拠がないのは、保守点検責任者だった原田被告らが客観的な証拠を残さなかったからです。彼らが客観的な証拠を報告書に添付していれば、事実関係は、その証拠によって解明され、捜査や裁判にこんなに長期間かかることはなく、遺族を長期間、二重三重も苦しめ続ける状態に置くことはなかったはずです。
 原田被告らが調整した後に、調整した者がいたのかについて、事実を解明していただきたいです。

現在、東京高等裁判所へ

東京地検は、シンドラー社原田被告の無罪について控訴
SEC社の被告らは判決を不服とし控訴

*遺族として

 エレベーターの安全は、メーカーと独立保守業者が情報を共有し、協力する中で維持されるのだと信じています。
 エレベーターの安全に対する、身勝手で、無責任な考え方がまかり通らない、結果が出ると信じています。